♀を比較してみる。
ちょっと時期はずれなネタになりますが、ブリードに使用するメス(メスを種というは違和感ありまして)について、現時点で私が思うことを書いてみたいと思います。
親メスの選定は毎年迷うところでありますが、自身で見るポイントをしっかり作っておかないと、何をやってるんだろう的なブリードになってしまう恐怖感に襲われてしまうので、私なりのポイントを作っています。
ポイントは3つ。順を追ってご紹介していきましょう。
① 全体像
全体像とは「身体のバランス」「ライン(虫の)の特徴と優位点」です。カッコいいホペイを作りたいのが私の目的なので、抑えたいポイントは「顎が短く湾曲し太い」「頭が大きい」「お尻が短く小さい」です。これらをキッチリ抑えて且つ違和感なく纏まっていること、を、メスから想像します。
先ずはこのメスをサンプルにお話ししてみましょう。スペックをご紹介すると体長53mm/頭幅17.6mm。まぁスペック的に強烈過ぎて、ちょっと心配になるメスですね。このブログで何度もご紹介している「EGⅡ 」(DSP氏ライン)の巨メスです。このメスの加点要素はズバリ「頭幅」。頭幅比率33%を超えてるので、それだけで使用確定😅。またサイズが大きいにも関わらずお尻は短いので、全体のシルエットは🐢のように平たい。理想系のメスです。よって子供もそのシルエットを期待できます。
マイナスポイントは顎の太さと前胸のディンプル。顎は画像からも分かるように少し頼らない感じですが、兄弟で6.9mmまで出ていること、掛けるオスで太くしていけるという対策案を取ることができるので、良しとします。次に前胸のディンプルは次の項でお話しします。
次に顎形状。メスも良く観察すると、顎形状に多くの違いを見つけることができます。長さ、幅、肉の付き方なんかで違いを見ることができます。
如何でしょう?長さや太さ、外側の肉付きなんかの違いが見て取れるかと思います。こんな違いを見つけて使用するメスを選別するのも楽しいです。
② 健全性
健全性とは個体に欠陥がなく、次世代に悪い要素を引き継がないためのポイントです。わかりやすいのが翅パカ。私の場合、究極の太さよりも美しさを求めていますので、翅パカ個体は一切使いません。またディンプルや逆ハといった前胸に現れる事象も私はマイナスポイントとし、プラス要素と対比して使うか使わないかを判断しています。特に前胸のディンプルや逆ハは厚みのある個体に出やすく、厚い虫は大抵、とても太い個体が多いですが、私は太くも出来るだけ薄い虫を理想としているのでマイナスポイントとしています。ただ、太さのみを追求するのであれば、逆に可能性に変わるというのもポイントです。
次に下の画像。
メスを3方向から撮影したものです。この写真でメスの厚みや横から見た上翅上辺のライン、後ろから見た際の上翅の接合やラインを見て判断しています。こういったところにも健全性を読み取ることができるので、写真を各方向から撮影してみると色々発見があるかもしれません。
③ 大きさ
メスのサイズも大切な要素。私は大きく太く美しい虫を目標にブリードしているので、メスのサイズも大切だと感じます。もちろん可能性を感じるメスは当然ながら小さい個体も使いますが、より大きいメスの方がアベレージも高く、太い個体が出やすい気がしてなりません。
以上、ざっとですが私のメスの選別概要をご紹介しました。ホペイのブリードに限らず、生き物相手の趣味は確実と絶対がないのが面白いポイント。そして自分なりの方法を確立して良い個体を作出するのは長い道のりですが、反面終わりのない遊びといえます。生き物であるが故の命を大切にしつつ楽しんでいければな、と思います。
2023年度の幼虫の成育状況
今年はホント、暑い夏でした(現在進行形ですが)。SNSでもちょいちょい見かけますが、今年はこの気温のせいか、早期羽化が目立ちます。御託に漏れず、我が家でも強烈に小さい😅成虫が、主に♀ですが出てきてます。
コレ全部♀用人口蛹室なんですが、コレが大きく感じる個体が😅大体、40mmないくらいかなぁ、こんなのが5頭ほど出てます。
♂も今年は早め(2ヶ月ちょい〜2.5ヶ月)での交換をしているせいか、アベレージは小さいですね。22〜25gの個体が多いです。
そんな中で、強烈な個体も出てます。
こちらは初令投入から69日😅で交換した個体。2ヶ月ちょいにしてはまずまずかな、と。
こちらも同じく。まさか投入から69日で30gを超えてくるとは思いもしませんでした。
最後はこちら。同じく69日でコレ。もう笑っちゃいました🤣この個体、一体何gまでいくんだろう…。※ 前回のブログでご紹介した個体です。
実はこれらの幼虫は、すべて53mm/17.6mmの子供。やはり定説通り、大きい個体の子供は大きくなるんだなぁ、と実感しました。
因みに「何故、69日での交換に至ったか」ですが、今年は気温が非常に高く、私のブリードスペースもエアコンフル稼働でも28〜29℃/日中と菌糸にとっても過酷な状況だったので、よりフレッシュで良い状態の菌糸を成長期の三令初期で食べさせたいな、との目論見。果たして成功するか否かは来年の春までのお楽しみです。
2023年度の産卵状況とL-327のその後
もう9月ですね。早いもので今年も半分どころか、あと3ヶ月になってしまいました。
まず初めに前回ご紹介したL-327の経過です。蛹化は一苦労しましたが、羽化スムーズにいきました。
こんな感じです。私の知っているLとは比較にならないくらい素晴らしい個体でしたが、皆さんの目にはどのように写っていますでしょうか?当然、来年の種親に使います。4メスいますので、とりあえず安心です。
で、今年のブリードですが、比較的苦労しています。採れている系統と採れていない系統の差が激しい、が適切な表現かな。
先ずはこの♀。私の過去1で強烈なEGⅡ です。こちらは手練れ大先輩ブリーダーの龍神さん(http://jimejime.blog55.fc2.com)のご厚意で炎駒J2PXと掛けていただきました。この♀は優秀で、30頭近くの子供を残してくれたのですが、♀が大きい為か卵も大きく、孵化した幼虫の頭も大きいという、期待できる状況です。
既に幼虫のボトル交換が済んでいる個体もいて、1本目食べ終わり(69日)で34gという、期待してしまう幼虫も出ています。
続いてはA-160。一昨年初めに御本家セブンオークス様より入手した♂です。残念ながら♀は昨年⭐️になってしまった為、早期のメス(49/15.1)と戻し交配を行いました。こちらも順調に採れています。
この他にも別ラインのA-160もインラインで順調に採ることができています。
この他は今年は援護射撃に助けてもらっている一年ともなっています。特にブリード前半に苦労し、期待の系統が殆ど採卵できず、仲間に助けていただいたという不甲斐ないシーズンでした。
セブンオークス系を補強し、なんとか採ることができた他、fishさん(http://hopei117.blog.fc2.com)からの救援で、なんとか数を確保したシーズンとなりました。ブリードは思い通りにいかないものですが、それ故に試行錯誤を繰り返し楽しめると感じます。
今年はイン、アウトともに楽しめる内容が盛りだくさんなので、しっかりと来年に向けて幼虫達を育てていけるよう、精進します。
L-327(追記あり).
もはや貴重な系統となりましたL-327。セブンオークスの中では美しさと纏まりを重んじる、悪くいえば地味で玄人好みな系統というのが、私の印象です。SNSを見ていても地味であるが故にブリードしている方も少ない印象で、なかなか最近はその名を目にすることも少なくなりました。
我が家には、クワ友であり色々と教わっているジスペケさんから譲っていただいたL-327がいます。昨年、初令幼虫で譲っていただき、その個体群が今年に羽化してきたのですが、一頭目の個体でびっくり!Lってこんなに見応えあったっけ?という感じの個体でした。
如何でしょう?私的にはかなり気に入っています。このレベルの個体が出てくるとは思っていなかったので、蛹の段階で既に驚いていました。
で、実は♂がもう一頭…。
この個体は今年初めに最終ビンに投入後になかなか蛹室を作ってくれず、ついに菌糸が劣化してマットに投入したのですが、それでもひと月半ほど蛹室を作らなかったのが、漸く7月中旬に蛹室を作り、先日取り出したという前蛹です。
こう書くと、幼虫経過は期待出来ない感じですが、前蛹体重は22.7gとなかなかどうして悪くない。あとは無事に明かしてくれることを願うのみ。
来年、次世代で更なるレベルアップができれば良いな、と思います。
(追記)
上記の前蛹が蛹になりました。
ちょっとお尻が長いんですが、顎の美しい湾曲や太さは先の個体以上かな、と期待しています。
さて、無事に明かしてくれるかな?
8mmの話
復帰して2年目の2022年度。凄腕ブリーダーさんたちの間で年に1〜数頭作出される、顎8mmオーバーのホペイ。そんな顎のホペイなど私にはまだまだ夢のまた夢と思ってました。私はどちらかというと顎幅より頭幅と顎形状を重視するので、顎幅を狙っていない分、恐らく私が8mmオーバーを出すことは無いとさえ思ってた位です。
ホペイに限らず、特出した特徴を持つ個体は才能を持つ系統でなければ出ない、というのが私の考え方で、そういった系統はSS-E位しかブリードしていなかった、というのも出すことはないと思っていた理由です。
で、本題。間違いが起きました(笑)。
先ずは蛹化直後。もう顎が異常(苦笑)。顎が出てきた瞬間、腰抜かしそうになりました。
その後に色付いたのがこの写真。この広がってしまった顎は、恐らくあるべき場所から重さで落ちてしまったんでしょうね。その位強烈な顎でした。
で、羽化した個体がこちら。留守中に羽化した為に補助出来ず、不全となってしまいました。その後、1週間程度頑張ってくれましたが、残念ながら⭐︎に…。
しかしながらこの子のお陰で8mmとはどんな個体?を知ることができたので、感謝しかないです。
2022年度はこの個体を筆頭に、5頭の7mmオーバーにで会うことができました。この経験をまた、次のブリードに活かしていきたいな、と思う次第です。
数字よりもかっこよさが大事
SNSで今年の羽化報告を見ていると、本当に凄いなぁという個体が多くて、皆さんのブリード技術の高さに毎日驚いてるですよ。で、多くの投稿には顎幅や頭幅の数字が書かれてることが多く、販売個体の判断にはその数字を参考にしている方も多いと思います。
で、わたくしめも当然ながら自身でブリードした個体の各所を計測し、飼育ケースに貼り付けているラベルに記載しているわけですが、私の場合は参考程度にしている感じです。
というのも、個体のサイズに対しての数字でその個体を評価しないと意外と?になってしまったり、そもそも顎や頭幅の数字が高かったとしても「カッコいいか」という基準から外れてしまっている、数字だけの個体もいるからなんですね。
例えばこの個体。私の基準では「なかなかカッコいい」個体なんですが、顎閉じ74.6mmの体長に対して頭幅が28.7mmなんですね。比率でいうと38.4%という、なかなかの頭幅率だったりします。で、更に顎幅なんですが、6.1mmと数字を聞くと今の時代では大した事ない数字なんですが、適度な長さとパンチの効いた湾曲で、意外と迫力があったりします。
で、もう一つ重要なのが、この虫は「セブンオークス」の虫であり、アウトブリードで作られたものでなく、インブリードで繋がれてきた虫でこのスペックだという事。こういうところも私は大事にしたいなぁ、と思ってます。
続いてはこのメス。頭幅は15.1mmで、コレもまた最近のスペックでは大した事ない数字なんですが、このメスの体長は48.1mmだったりします。頭幅比率でいうと31.3%。もしこの個体が50mmだとすると、頭幅が16mmでほぼ同比率になるわけです。頭幅の数字だけで追いかけてるとこういう所を見落としているので、注意するようにしています。
最後に何度が紹介しているこのメス。
サイズは53mmとかなりでっかいんですが、頭幅も強烈で17.6mm(頭幅率33.2%!)という数字。それでいてお尻もそれほど長くないので、スタイル抜群(笑)だったりします。ただ顎が少し華奢なので、その辺の改善が今後の課題かな?
数字だけではなく、個体が持つ「かっこよさ」を大切にしながらブリードしていきたいな、と思うわけです。
2022年度 羽化個体(A-160)
我が家も半分以上の羽化が終わり、だいぶ種親の選別ができるようになってきました。
で、御本家から購入し産卵させたA-160の中で、ちょっと面白い個体が2頭羽化してきたのでご紹介します。
先ずはお父さんの画像(再掲載)
お父さんはこんな感じです。店主様にお任せで選んでいただきました。始まりの個体です。
でここから子供達。
先ず一頭目。最大体重33gからの羽化個体です。スペックは75.4mm/頭28.7mm/顎6.2mmという感じ。我が家のセブンオークス系統の中では、なかなかの頭幅が出てくれました。その分、少し顎が華奢に見えてしまうので、顎を太くするのが次世代以降の課題かな。顎の湾曲や形状は比較的父親に似てるかな、と思います。全体的なバランスも良く、当然ながら来年の種親です。
当然ながら同腹です。最大体重で30gからの羽化個体。スペックは75.3mm/27.6mm/6.3mmという感じ。こちらの方が横に出なかった分、軽い体重で同じくらいの体長になりました。で、顎形状が結構違うのが面白いですね。
まだまだ羽化してくるので、悩みは尽きなさそうです。