産卵セットを組む時期になりました。今は産卵セットも様々な手法が確立され、それにマッチした用品も沢山入手できるようになりましたね。私自身、昨年度は菌床産卵セット、植菌材産卵セット、ホダ木のみの産卵セットと試してみましたが、カワラ菌を使用することで♀の初動が早いような気がします故、カワラ菌を用いた産卵セットを今年もメインにします。
↑ 植菌カワラ材
で、省スペースの関係で出来る限り小ケース(W 230×D 153×H 170程度)を使用したいのですが、小ケースだと通常市販されている14cmカットの産卵材では一本しか入らない。しかしながら1回のセットで沢山産んで欲しいので、2本の材を入れたい。そこから10cmカットの産卵木を使用するようになりました。
そうなると困ってしまうのが「植菌カワラ材」の10cmカット材がない‼️という事。無いなら作ってしまえっ、という事で今年からは自作の植菌カワラ材を使用して産卵セットを組んでいます。昨年、試しに何本か作成して上手くいったので、今年もまた同じ方法で仕込んでいますが、順調そうです。
前置きが長くなりましたが、今回は私の植菌カワラ材を作成方法をご紹介します。あくまで自己流なので、参考になるかは分かりませんが暇つぶしにでもなれば幸いです。
使用する材料は下記となります。
❶ 産卵材(ホダ木)
❷ カワラ菌床
❸ 袋
❶ 産卵材(ホダ木)
まず使用する産卵材を用意します。私は主にナラ系材を使用します。理由は入手先の「オオクワフィールド」様がナラ系を販売されているためです。クヌギでも全然構いません。ただナラ系材の方がクヌギより肉質がしっかりしているので、私の飼育種「ホペイ」に合っているかなぁ、とも感じてます。
❷ カワラ菌床
これはどこのブランドでも構いません。私は入手のし易さで「KBファーム」や「大夢」を使用しています。微粒子のが作業はしやすいかも、です。
❸ 袋
袋は通気を確保しつつ雑菌が入りにくい物が理想です。私はタイベストが貼られた菌床用の袋を使用していますが、チャック付きビニール袋に穴を開け、タイベストシールを貼ったものでも問題ありません。ポイントは「通気が出来ること」「雑菌や雑虫が入らないこと」「湿度が保たれること」ですかね。
で、作成のステップは下記の順となります。
① 材の加水
② 材の殺菌
③ 材の下準備
④ 植菌
上記を順を追ってご説明していきましょう。
① 材の加水
先ずは材を加水します。加水時間は、完全に材を水に浸した状態で10分程度。カワラ菌はあまり水分を多く必要としないように感じますので、この程度の加水時間としています。尚、ホダ木の皮は剥ぎません。剥いでしまうとカビが生えやすくなると感じるためです。加水後は新聞紙等の上に10分ほど起き、余計な水分を外に出します。その際、5分起きにひっくり返して、なるたけ水分を均一になるようにしています。
② 材の殺菌
材を菌床用の袋に入れ、電子レンジで加熱します。私は1000Wで5分の加熱を2回行います。加熱した部屋が木の匂いに包まれてしまうのでご注意を。加熱した材はしっかりと常温まで冷まします。冷まさないで植菌すると、私の経験ではカワラ菌が回りませんでした。
③ 材の下準備
殺菌し、冷ました材に下準備をします。下準備はコマ菌を打った跡の穴をキレイにする、です。(下の写真の矢印)
ホダ木は椎茸栽培の廃材である為、椎茸の菌(コマ菌)を打った跡(↑写真の矢印)の穴があります。穴にはコマ菌と蓋がありますので、これを全てマイナスドライバーなどで掻き出します。
掻き出すと穴が出現します(↑写真)。
④ 植菌
カワラ菌床を崩します。白い菌をパン切り包丁等で削ってから崩すと作業がし易いかもです。
カワラ菌床を崩したら、先程コマ菌を掻き出した穴に崩したカワラ菌床のオガを詰めていきます。コツはそんなにギュウギュウに詰めないのがポイントかな。通気を確保するイメージで、そうしてます。
↑詰めた写真がコレ。
穴にオガを詰めたら、次はホダ木表面やスジや端面等々、隙間という隙間にカワラ菌床のオガを擦り付けていきます。軽く霧吹き等でホダ木を湿らせるとやりやすいかも。擦り付けが終わったら袋に薄くカワラ菌床のオガを敷き、その上にホダ木を置いて上からオガをまぶします。
↑こんな感じ。オガはできる限りホダ木の周りを埋める位が理想的に感じます。
オガをまぶしたら袋の口を折りたたみ、封をします。その際、できるだけ中の空気を抜いてから封をします。
封をしたら20〜25℃位の室温で管理します。1ヶ月もすれば菌が回っているのが目視できるようになります。で、全体が白くなったら完成です。
最後に私が作成の時にやってしまった失敗例を。
(失敗例)
① 添加
カワラ菌の勢いを増そうと、加水時に麦芽粉末を水に溶いて加水したところ、素晴らしくカビましたw
② ホダ木を煮る
ホダ木の殺菌を煮る事によって賄おうとしましたが、見事にカビました。煮る時間が短かった(10分程度)かな、と…。高圧釜とかでやると上手くいくのかなぁ。
③ 穴を開けない
通気穴を開けずに作成したら、当たり前の如く菌が回りませんでした。
ちょっと手間ですが、植菌カワラ材は自作可能です。お気に入りの硬さや太さ、長さの材で作れるとブリードの幅が広がります。是非、お試し下さいませ。