どりのホペイな飼育日記

どりというホペイ好きがつらつらと飼育に関する閑話を書くブログです。

数字よりもかっこよさが大事

SNSで今年の羽化報告を見ていると、本当に凄いなぁという個体が多くて、皆さんのブリード技術の高さに毎日驚いてるですよ。で、多くの投稿には顎幅や頭幅の数字が書かれてることが多く、販売個体の判断にはその数字を参考にしている方も多いと思います。

で、わたくしめも当然ながら自身でブリードした個体の各所を計測し、飼育ケースに貼り付けているラベルに記載しているわけですが、私の場合は参考程度にしている感じです。

というのも、個体のサイズに対しての数字でその個体を評価しないと意外と?になってしまったり、そもそも顎や頭幅の数字が高かったとしても「カッコいいか」という基準から外れてしまっている、数字だけの個体もいるからなんですね。

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例えばこの個体。私の基準では「なかなかカッコいい」個体なんですが、顎閉じ74.6mmの体長に対して頭幅が28.7mmなんですね。比率でいうと38.4%という、なかなかの頭幅率だったりします。で、更に顎幅なんですが、6.1mmと数字を聞くと今の時代では大した事ない数字なんですが、適度な長さとパンチの効いた湾曲で、意外と迫力があったりします。

で、もう一つ重要なのが、この虫は「セブンオークス」の虫であり、アウトブリードで作られたものでなく、インブリードで繋がれてきた虫でこのスペックだという事。こういうところも私は大事にしたいなぁ、と思ってます。

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続いてはこのメス。頭幅は15.1mmで、コレもまた最近のスペックでは大した事ない数字なんですが、このメスの体長は48.1mmだったりします。頭幅比率でいうと31.3%。もしこの個体が50mmだとすると、頭幅が16mmでほぼ同比率になるわけです。頭幅の数字だけで追いかけてるとこういう所を見落としているので、注意するようにしています。

 

最後に何度が紹介しているこのメス。

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サイズは53mmとかなりでっかいんですが、頭幅も強烈で17.6mm(頭幅率33.2%!)という数字。それでいてお尻もそれほど長くないので、スタイル抜群(笑)だったりします。ただ顎が少し華奢なので、その辺の改善が今後の課題かな?

数字だけではなく、個体が持つ「かっこよさ」を大切にしながらブリードしていきたいな、と思うわけです。

 

 

2022年度 羽化個体(A-160)

我が家も半分以上の羽化が終わり、だいぶ種親の選別ができるようになってきました。

で、御本家から購入し産卵させたA-160の中で、ちょっと面白い個体が2頭羽化してきたのでご紹介します。

先ずはお父さんの画像(再掲載)

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お父さんはこんな感じです。店主様にお任せで選んでいただきました。始まりの個体です。

 

でここから子供達。

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先ず一頭目。最大体重33gからの羽化個体です。スペックは75.4mm/頭28.7mm/顎6.2mmという感じ。我が家のセブンオークス系統の中では、なかなかの頭幅が出てくれました。その分、少し顎が華奢に見えてしまうので、顎を太くするのが次世代以降の課題かな。顎の湾曲や形状は比較的父親に似てるかな、と思います。全体的なバランスも良く、当然ながら来年の種親です。

 

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当然ながら同腹です。最大体重で30gからの羽化個体。スペックは75.3mm/27.6mm/6.3mmという感じ。こちらの方が横に出なかった分、軽い体重で同じくらいの体長になりました。で、顎形状が結構違うのが面白いですね。

 

まだまだ羽化してくるので、悩みは尽きなさそうです。

植菌カワラ材

産卵セットを組む時期になりました。今は産卵セットも様々な手法が確立され、それにマッチした用品も沢山入手できるようになりましたね。私自身、昨年度は菌床産卵セット、植菌材産卵セット、ホダ木のみの産卵セットと試してみましたが、カワラ菌を使用することで♀の初動が早いような気がします故、カワラ菌を用いた産卵セットを今年もメインにします。

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↑ 植菌カワラ材

で、省スペースの関係で出来る限り小ケース(W 230×D 153×H 170程度)を使用したいのですが、小ケースだと通常市販されている14cmカットの産卵材では一本しか入らない。しかしながら1回のセットで沢山産んで欲しいので、2本の材を入れたい。そこから10cmカットの産卵木を使用するようになりました。

そうなると困ってしまうのが「植菌カワラ材」の10cmカット材がない‼️という事。無いなら作ってしまえっ、という事で今年からは自作の植菌カワラ材を使用して産卵セットを組んでいます。昨年、試しに何本か作成して上手くいったので、今年もまた同じ方法で仕込んでいますが、順調そうです。

 

前置きが長くなりましたが、今回は私の植菌カワラ材を作成方法をご紹介します。あくまで自己流なので、参考になるかは分かりませんが暇つぶしにでもなれば幸いです。

 

使用する材料は下記となります。

❶ 産卵材(ホダ木)

❷ カワラ菌床

❸ 袋

 

❶ 産卵材(ホダ木)

まず使用する産卵材を用意します。私は主にナラ系材を使用します。理由は入手先の「オオクワフィールド」様がナラ系を販売されているためです。クヌギでも全然構いません。ただナラ系材の方がクヌギより肉質がしっかりしているので、私の飼育種「ホペイ」に合っているかなぁ、とも感じてます。

❷ カワラ菌床

これはどこのブランドでも構いません。私は入手のし易さで「KBファーム」や「大夢」を使用しています。微粒子のが作業はしやすいかも、です。

❸ 袋

袋は通気を確保しつつ雑菌が入りにくい物が理想です。私はタイベストが貼られた菌床用の袋を使用していますが、チャック付きビニール袋に穴を開け、タイベストシールを貼ったものでも問題ありません。ポイントは「通気が出来ること」「雑菌や雑虫が入らないこと」「湿度が保たれること」ですかね。

 

で、作成のステップは下記の順となります。

① 材の加水

② 材の殺菌

③ 材の下準備

④ 植菌

上記を順を追ってご説明していきましょう。

 

① 材の加水

先ずは材を加水します。加水時間は、完全に材を水に浸した状態で10分程度。カワラ菌はあまり水分を多く必要としないように感じますので、この程度の加水時間としています。尚、ホダ木の皮は剥ぎません。剥いでしまうとカビが生えやすくなると感じるためです。加水後は新聞紙等の上に10分ほど起き、余計な水分を外に出します。その際、5分起きにひっくり返して、なるたけ水分を均一になるようにしています。

② 材の殺菌

材を菌床用の袋に入れ、電子レンジで加熱します。私は1000Wで5分の加熱を2回行います。加熱した部屋が木の匂いに包まれてしまうのでご注意を。加熱した材はしっかりと常温まで冷まします。冷まさないで植菌すると、私の経験ではカワラ菌が回りませんでした。

③ 材の下準備

殺菌し、冷ました材に下準備をします。下準備はコマ菌を打った跡の穴をキレイにする、です。(下の写真の矢印)

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ホダ木は椎茸栽培の廃材である為、椎茸の菌(コマ菌)を打った跡(↑写真の矢印)の穴があります。穴にはコマ菌と蓋がありますので、これを全てマイナスドライバーなどで掻き出します。

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掻き出すと穴が出現します(↑写真)。

④ 植菌

カワラ菌床を崩します。白い菌をパン切り包丁等で削ってから崩すと作業がし易いかもです。

カワラ菌床を崩したら、先程コマ菌を掻き出した穴に崩したカワラ菌床のオガを詰めていきます。コツはそんなにギュウギュウに詰めないのがポイントかな。通気を確保するイメージで、そうしてます。

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↑詰めた写真がコレ。

穴にオガを詰めたら、次はホダ木表面やスジや端面等々、隙間という隙間にカワラ菌床のオガを擦り付けていきます。軽く霧吹き等でホダ木を湿らせるとやりやすいかも。擦り付けが終わったら袋に薄くカワラ菌床のオガを敷き、その上にホダ木を置いて上からオガをまぶします。

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↑こんな感じ。オガはできる限りホダ木の周りを埋める位が理想的に感じます。

オガをまぶしたら袋の口を折りたたみ、封をします。その際、できるだけ中の空気を抜いてから封をします。

封をしたら20〜25℃位の室温で管理します。1ヶ月もすれば菌が回っているのが目視できるようになります。で、全体が白くなったら完成です。

 

最後に私が作成の時にやってしまった失敗例を。

(失敗例)

① 添加

カワラ菌の勢いを増そうと、加水時に麦芽粉末を水に溶いて加水したところ、素晴らしくカビましたw

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② ホダ木を煮る

ホダ木の殺菌を煮る事によって賄おうとしましたが、見事にカビました。煮る時間が短かった(10分程度)かな、と…。高圧釜とかでやると上手くいくのかなぁ。

③ 穴を開けない

通気穴を開けずに作成したら、当たり前の如く菌が回りませんでした。

 

ちょっと手間ですが、植菌カワラ材は自作可能です。お気に入りの硬さや太さ、長さの材で作れるとブリードの幅が広がります。是非、お試し下さいませ。

2023年度のブリード

いよいよ2023年度のブリード開始の時期になりましたね。我が家でも4月に入り、早速3ペア程のペアリングを行い、既に産卵セットにメスを投入しました。

産卵セットですが、昨年は市販の菌床産卵(カワラ)と材(植菌カワラ材+ホダ木)のセットの両方を用いましたが、今年は後者の産卵木のセットを中心に展開する予定です。

f:id:poonbustergmailcom:20230424023825j:image産卵セットはこんな感じです。コバエ抑制ケース小に植菌カワラ材とホダ木を1本づつ入れて、無添加発酵マットで完全に埋め込んであります。この産卵セット、慣れている方なら?となるかと思います。そう、小ケースに産卵木を2本入れている、という点がポイント。これは一部でのみ入手可能な10cmカットのホダ木を用いて作成したカワラ材と、その原木となるホダ木がこのセットを可能にしてくれるんです。

昨年の結果を感覚的に見ると、菌床よりもホダ木の方が数が採れたので、産める面積が広いホダ木だからかな?と感じた為です。f:id:poonbustergmailcom:20230424024938j:imageホダ木は円柱全体に生むことが可能であり、それが2本入っているので生む量が多いのでは?というのが私の持論です。


f:id:poonbustergmailcom:20230424024942j:image続いて菌床産卵ですが、こちらはケースに詰めて熟成したカワラ菌床に穴を開け、そこにメスを投入するのですが、ケース内の面積は広いものの、メスが貼っていった所だけが産卵場所となる為、意外と数が伸びないのでは?という印象でした。

よって今年は植菌材とホダ木の2本を小ケースでセットする、という感じになってます。

 

今季はまずM-127、A-160、SS-Eからスタート。暖かい日にはガリガリと飾る音が聞こえるので、産卵は始まっている様です。今年もちゃんと子孫が取れると良いのですが、どうなることやら。

毎年恒例ですが、割り出しが楽しみです。

f:id:poonbustergmailcom:20230424025824j:imageお気に入りのM-127(DSP氏累代)

f:id:poonbustergmailcom:20230424030059j:image昨年大活躍してくれたA-160。今年も元気です。戻し交配もいけそうです。

 

羽化個体報告

前回の更新から2ヶ月が過ぎてしまいました💦

月日が経つのは早いものですね。

我が家でも春を迎えて、続々とホペイたちが羽化してきていますので、ご紹介していきたいと思います。

 

f:id:poonbustergmailcom:20230423121653j:image最初にご紹介するのはEGⅡ。頭幅が強烈な系統なんですが、期待を裏切らない頭幅です。スペックは75mm/29.0mm/6.95mmという感じ。頭幅率39%まであと少し。しかしながら強烈な頭幅ですホント。小さめのお尻との兼ね合いでかなり逆三角形に見える素晴らしい個体になってくれました。


f:id:poonbustergmailcom:20230423123459j:image続いての個体はSS-E。我が家初の7mm超えの個体です(翅パカ防止のテープ剥がしてなくてすいません)。スペックは75mm/28.3mm/7.3mmと強烈系のスペック。この系統は強烈な顎が出やすく、次世代で更なる昇華を試る予定です。

 

f:id:poonbustergmailcom:20230423123843j:image最後はA-160。こちらはとても小さい個体ですが、顎の湾曲度合い、頭と前胸そしてお尻のバランスはボチボチ。ただ、もう少しお尻が短いと良いかな。A-160は2系統やっていますので、こちらも今後に昇華させていきたい系統です。

 

今回はここまで。羽化の時期は一年の頑張りが結果として現れる時期なので、毎年ドキドキしますね。

 

ゼリーのお話

さいご今回は成虫のお食事「ゼリー」について書いてみたいと思います。

新成虫が羽化して一定期間が経つと、当然ながら餌が必要になってきます。市販のゼリーを使っている人が殆どかと思いますし、高タンパクゼリーが広く使われていると思います。そんな中、私はちょっとあげるゼリーに気を使ってますのでご紹介します。

先ず私が使用しているゼリーは概ね下記の3種です。

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左が黒糖系のそれほどタンパク質の添加されていないゼリー。中央が一般的な高タンパクと言われているゼリー。右が更にタンパク質量の多い、超高タンパクなゼリーです。

で、与え方ですが、先ず羽化して初めて与えるゼリーは、左の黒糖ゼリーやKBファーム社製のすこやかゼリーといった、タンパク質をそれほど添加していないゼリーを与えます。理由としては「いきなり高タンパク」というのがどうも怖い(笑)。なので先ずは水分と多少の糖を与えるべく、コレらを使用しています。

ある程度の期間(羽化後3ヶ月以上)の給餌が経過したのち、中央の高タンパク系に切り替えます。当然ながら産卵数のアップを意識しているためですね。

で、どんな餌でも凄い勢いで食べるメスには、右の超高タンパクゼリーを与えます。ただこの手の超高タンパクゼリーは食べない個体が多いので、食べないようでしたら高タンパクゼリーに戻す、といった方法をとっています。

あとは安価な大量生産系や¥100均で購入できるゼリーは使用しません。やはり少しでも良いものを与えて、優良な子供を残して欲しい、というのが理由です。

こうでなければいけない、というものはありませんが、ゼリーひとつに拘ってみるのも面白いです。小さな積み重ねがブリードの成功、または優良個体の作出に繋がるような気がしますので。

 

最後に、私が使用しているゼリーの銘柄をご紹介します。

・KBファーム すこやかゼリー(低)

・同社 プロゼリー(中)

・同社 プロゼリーVP(高)

ダイナスティスマスターズ 究極ゼリー(中)

・同社 黒糖ゼリー(低)

・D.D.A パウダーインゼリー(高)

 

※ 最近蛹化したHG(最大体重33g)。

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凄いメスが羽化しました。

年が明けました。喪中につき新年のご挨拶を控えましたこと、お許し下さい。

さてさて今回のお題ですが、SNSの方には速報で出しました私自身にとっても初の、とんでもないメスが羽化しました‼️

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スマトラのメスじゃないの?と言われてしまいそうですが、正真正銘ホペイです。

サイズは体長が顎閉じで53mm、頭幅はなんと17.6mmという見たこともないサイズ。手に取った画像から、その強烈さが伝わるかと思います。当然ながら前述の通り、こんなメスは私も初めてです。

この系統はDSP氏作出のEGⅡという系統です。氏のブリードに使用したメスを譲っていただくことになったのですが、発送の直前に☆になってしまい、氏のご厚意で採取した幼虫を送っていただきブリードした個体になります。

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やはり氏の親の選別が素晴らしいのでしょうね、こういった個体が出てきます。因みに兄弟はこんな感じです。

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この個体は昨年9月に羽化したのですが、羽化後3日で☆に…。この個体は体長73mmに対して頭幅が28mmを超えるという素晴らしい個体でした。また、別の兄弟メスでは47mmに対して頭幅が15.5mmという、こちらもあたまお化けです。

 

改めて、ブリードというのは如何に良質の親を選別するかがとても重要、ということを身に沁みて感じた次第でした。